3つのポリシー

学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

金融技術の発展、業務の自由化や経済の国際化、BIS規制等の制度導入によって、資産運用やリスク管理、資金調達、価値評価やM&Aと いった金融活動は高度化を続けてきました。世界的な金融危機やエマージング・マーケットの興隆を通じて、ファイナンスの知識を体系的に習得し、金融技術を 戦略的に使いこなす能力を持った人材がこれまで以上に求められています。

金融戦略・経営財務コースは、現代の金融業務に必要な知識を備え、問題を的確に把握し、最先端の学問と実務の成果を利用して、直面する実際の問題 に自らの判断で対応できる高度な能力を持った専門的職業人の育成を目的とするプログラムです。金融に関わる幅広い問題を定性的・概念的に深く理解し、実際 のデータを使って定量的に分析し、それらを経営上の判断に生かすことができる高度金融人材の育成を目指しています。

このような目的のため、本コースでは、基礎から専門にわたる多くの科目を幅広く修得し、その知識を生かして自ら選んだ実務上の問題に答えを出す専 門職学位論文(修士論文)を書き上げることで、高度金融人材に必要な知識を習得しそれを生かす能力を身につけたことを示した学生に学位が授与されます。

教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

本コースでは、金融に関わる実務上の問題の解決に必要となる方法論を学び、現代ファイナンスに必要な基礎知識と実務への応用方法を体系的に習得す ることを目指します。具体的には、「基礎科目」および「専門科目」の履修と、修士論文(専門職学位論文)の作成がその柱となります。

まず「基礎科目」では、ファイナンスに必要な基礎知識 ― foundation ― を幅広く習得します。ファイナンス理論、会計、コーポレート・ファイナンス、統計・データ分析、コンピュテーショナル・ファイナンスに関する科目がそのた めに提供されています。基礎科目を修得することで、ファイナンス全体に関する入門から中級レベルまでの知識を体系的に学習できます。次に「専門科目」で は、基礎科目で得た知識を土台に、M&Aや経営、資産運用、リスク管理、プライシング、統計・計量分析等に関わる様々なトピックを―分野によって は博士課程レベルまで―深く掘り下げます。経営者等活躍する実務家による講義もここに含まれます。専門科目は、個別の分野の話題について、学問および実務 の両面で扱われる最先端の議論まで学びます。

全ての学生には、専門職学位論文(修士論文) の提出が求められます。修士論文は、一人一人の学生が個別プロジェクトと位置づけられます。基礎および専門科目で修得した方法論を応用し、学問的成果と現 実の問題を効果的に融合することによって、自ら選んだ実務上の問題に対して解答を導くことが目標となります。これを実現するために、在学期間を通じて全学 生が少人数のゼミナールに参加します。ゼミナール・システムは一橋大学の伝統であり、全員が少人数のゼミナールに所属して本格的な論文作成に取り組むこと は、社会人大学院の中でも際立った本校の特徴となっています。指導教員のもと、問題の設定、先行研究の調査、方法論の選択、分析の実行、指導教員や他学生 との議論等を通じ、時間をかけて鍛錬を重ね修士論文を仕上げることで、学んだ知識を実際に使いこなし意思決定に用いる力を醸成します。

入学者に関する受け入れ方針(アドミッション・ポリシー)

入学試験の目的は、出願者の全体の中から、我々のプログラムに最も適する応募者を見いだすことにあります。金融戦略・経営財務コースのカリキュラ ムは、学位授与の方針で明示されているような、高度な金融人材の育成を目的として構成されています。このため、入学者が次のような要件を満たすことを期待 しています。

出願資格

以下は社会人向け専門職大学院としての本コースのアイデンティティーを保持するために、満たすべき出願資格として要請するものです。すべての条件を満たす必要があります。

  • 入学時点において、企業・官公庁等における原則2年以上の実務経験を有する者
  • 学校教育法第83 条第1 項に定める大学を卒業した者及び平成24年3月までに卒業見込みの者。またそれに準ずると見なされる者(詳細は募集要項を参照のこと)
  • 平日(月曜から金曜)の18時20分に開始される講義への出席、および講義の宿題や定期試験等のために十分に時間を割くことができる者
  • 講義は基本的に日本語で行われるため、日本語の読み書き、プレゼンテーションを行うための十分な日本語能力を有する者

入学者に求められる能力

以下は、本コースの講義・ゼミを履修して単位を取得するために必要となる能力です。これらすべてが満たされていることが望ましいと考えます。不足していると自覚する項目があれば、自ら努力をして改善してゆくことが求められます。

  • 何よりもまず自分の頭で考えて問題解決しようという意識が強いこと
  • 自分の考えを論理的に口頭発表や文章で表現するとともに、他者の考えにもきちんと耳を傾けて意見交換することができるようなコミュニケーションが図れること
  • 英語で書かれた書籍や専門論文をきちんと読解することができること
  • ファイナンスの理論モデルを理解したり統計分析を行ったりするための準備として、少なくとも高等学校までの数学(微分・積分、数列とその和)を理解している者、あるいは短期間で復習する意欲がある者
  • ワープロ、表計算ソフト等を苦労なく操作できるコンピュータのスキルを身につけていること

本コースでの学習をより充実したものにするために求められる能力

以下は、本コースでより質の高い学習をしたり、より質の高い修士論文を作成したりするために、入学者が習得していると好ましい能力の例です。

  • 経済学、会計学、経営学、統計学等の基本的な理解(こういった分野に精通していることは、ファイナンスの先駆的な研究の理解に役立ちます
  • 財務会計や企業価値評価の基礎的な事項を学習しており、財務諸表分析の経験があること(これらの知識や経験は、コーポレートファイナンスをはじめとして、広くファイナンスの研究を理解するうえでの基礎となります
  • 外国人教員やゲストスピーカーによる英語の授業を理解し、英文レポートの作成やケーススタディの議論が英語でできること(海外からの訪問研究者による英語での講義もしばしば行われます
  • 統計学やデータ分析の基礎的な事項を学び、統計や計量経済学のソフトウェア(SAS, Gauss, RATS, Eviews, S-Plus, R など)、C, C++といったプログラム言語、MatLab, Mathematica といった数値計算プログラムなどを利用した経験があること(修士論文を作成する際には、ほとんどの学生が、データの統計分析あるいは数値シミュレーションといった作業を行うことになります
  • 大学学部の課程において、線形代数、多変量解析、微分方程式、確率論、中級以上の統計学などの授業を履修しその内容を十分に理解していること(最近のファイナンス理論モデルは非常に高度な数学知識を用いて構築されているものもあります
  • 経営学、会計学、商学、経済学、歴史学、社会学、心理学など、多様な社会科学の学問を幅広く学んでいること(ファイナンスはこうした社会科学の分野と密接な関係にあり、分野横断的な研究も進んでいます